第四回


帰郷



日も沈みもうレイスの視界にはそれほど物は映らなくなってきた。しかし歩くにつれ着実にレイ
スの中にある大都市ルロラットの景色が蘇ってきた。懐かしい感じとともに、真新しい感じも受
けた。レイスは二年前、ルロラットを発ったあと一度も帰郷していなかった。
「やっと着いたな。」ダロークが門の前に立ち止まって言った。「予定通りだ」
二人は門をくぐりシーク教の教会を目指した。
都会の教会だけあり、なかなか豪華であった。一面ステンドグラスで、そこから虹色の光が降
り注いでいた。
「司祭長はおられるか?」
ダロークが教会の人間らしき人に話しかけた。
「奥におられます。なにか御用でしょうか?」
ダロークはここではまじまじと視線をあびることはなかった。街中では忘れ去られたとは言え、
英雄ハウンリーの外見をもっているのだから少しは注目を浴びた。レイスも一緒なのでなおさ
らである。しかし教会の人間は戦や剣術などに興味はないため名すらは知っていても、外見ま
では覚えていなかった。
ダロークは男にレイスの左腕を突き出した。
「これがな……!? す、すぐに司祭長をお呼びします!そこでお待ちになっていてください!」
男は”それ”を見るとすごい勢いで奥へ駆けていった。レイスは男のこの驚きように動揺した。
やはり呪いというほどなのだから良いものではないだろうと思ってはいたが、本当にそれほど
良い物ではないらしい。
「し、司祭長をお連れしました。」
男はそういってレイス達に一礼するとまた奥へと引っ込んだ。その後ろには司祭長がいた。
「その手…見せてはくれんかね?」司祭長がレイスに言った。
レイスはすこし戸惑ったが、すぐに腕を差し出した。
「………なんと!ラテナの呪いじゃ!!こりゃ大変なことじゃぞ……今すぐシーク教連盟に連絡
せねば。」
「おい、なんだというんだ?!このラテナの呪いとやらが!」
レイスは一人だけ状況を飲み込めていないのに憤怒し、叫んだ。
「……まぁ、まだ呪いに掛かって間もない…時間は少しはあるようじゃから説明してやろうかの
…」
そういって祭司長は話を始めた。ラテナの呪いのことや、それにまつわる歴史など、すべてを。

「そんなばかな!!!そんなことがあり得てたまるか!」
話をすべて聞き終えたとたん、レイスが叫んだ。その声はホール上の建物のなかで幾度も壁
をうち響いた。
司祭長がなにか言ったがレイスにはすでに聞こえなかった。
「おい。」急にダロークが口を開いた。「お前の後ろに道はないぞ、レイス。」
「……なら…」レイスが返す。「なら、どうすれば浄化できる?」
少し考えたあと、ダロークはこう答えた。
「……壁をぶち壊せ」
その言葉を理解したのは言った本人と教会だけであった。



第五回




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