Drive Out



第一回

輝きとともに



「あの…レイス・ラーク様ですか?」
穏やかな村の広場にて佇んでいた男に、老人が恐る恐る尋ねた。
「…そうだ。」
レイスと呼ばれた男が答える。身長180CMくらいで、歳は17歳くらい。髪は茶髪で、少し長
め。眼はこの大陸の人間には珍しく紅い。背中には巨大なツーハンデッドソードを背負ってい
た。
「それで魔物の方なのですが…」
老人がいささか申し訳無さそうに言った。
「どうした?」
「この前ご相談したときより少し増えてしまいまして…」
老人がまた申し訳なさそうな声で言った。
「そうか、それで報酬は幾らなんだ?」
レイスが老人に聞く。だんだんと老人の後ろには村人らしき人が集まってきた。どうやら老人は
村の長のようだ。
「…これくらいで……」
そういうと老人は、巾着袋を男に差し出した。レイスはおもむろに巾着袋を受け取り、中身を確
認した。
「……半分でいい。」
レイスはそう言って、巾着袋を老人に返した。
「え?…半分…ですか?」
老人が聞き返す。
「あぁ。」
短い返事が返ってくる。
「有難うございます!!噂には聞いていましたが、これほどの方とは思いませんでした。」
そう言うと老人はレイスの手を堅く握り締めた。しかしレイスはその手を何事も無かったかのよ
うに払い話しを続けた。
「…どこだ?」
レイスが聞く。
「…この村を東に少し行った所の洞窟が魔物の住みかです。」
老人は用意していた文句で答えた。
「…わかった。」
レイスはそれだけ聞くと老人を背にし、村を出た。

本当に村から少し歩いたところに洞窟は在った。レイスの仕事は「ブレイバー」。つまり魔物退
治だ。この世界には主にクルト族、オルティ族、サフルド族、キーノバルト族、ケディザ族の五
つの種族に分かれている。クルト族は一般に栄え、普通の人間のような姿形をしている。村や
町、国などを作り集団で世活することによって、あまり戦闘に優れていなくても生き延びて来れ
た。オルティ族は体がクルト族の約2倍ほど大きく、戦闘を好みクルト族への侵略を幾度と無く
繰り返してきたが、その頭の弱さゆえ昔から状況に進退はあまりみられなかった。
サフルド族とキーノバルト族は姿はクルト族とよく似ているが、魔術の能力に秀で他の種族との
馴れ合いをあまり好まない。しかしキーノバルト族はクルト族とすこしは交流があり、サフルド族
は頭の弱いオルティ族をしばし操っていた。二つの種族は対立しており、しばしば戦争も起こる
が、両族とも戦闘に関する知識も増えきて能力も高くなり、迂闊には手をだせず、最近は血を
見ずにすんでいた。
ケディザ族に関しては全くの不明で、その姿を見ることさえも稀であった。
「ここか…」
レイスは魔物の数がだんだん増えてきているのに気付いた。
魔物とは、古代から生息する生き物で多少魔力もつかう。集団で行動しその中にリーダーとな
る魔物がいる。リーダー格の魔物の意識レベルは他より少し高く集団の司令塔として君臨して
いた。

「…!!!」
レイスが背中の大剣を思わず抜いた。そして抜いたとほぼ同時に辺りに血飛沫が舞う。魔物
の住みかである洞窟に近づくにつれ、魔物の攻撃頻度も上がってくる。レイスはそのたび大剣
を振り魔物を二つに分裂させる。
…洞窟の中に入ると、さすがに魔物がわんさか襲いかかってくる。しかし幼少時代から訓練を
積んできたレイスにとって、下級の魔物は相手にならなかった。
「…幾らかかって来ても同じようなものだな…」レイスが魔物を一気に三体斬裂きながら言う。
洞窟はレイスの予想を越えてかなり奥まであった。もう入り口の光は見えない。レイスは洞窟
の壁に掛けてある灯火を目印に洞窟を無数の魔物を斬りながら進んで行った。
「くそっ…一体どこまで続いてるんだ、この洞窟は…」レイスが悪態をつく。しかしその瞬間さえ
警戒を怠らない。
と、奥に進んで行くにつれ大分魔物の数も多くなることは当たり前なのだが、気のせいかだん
だんと強くなっている気もする。流石のレイスも少し疲れ始めてきた時、なぜか魔物がぱたっと
出なくなった…
「…??……どうなってるんだ?」
レイスは頭を傾げるも、その足はまださっきと同じペースで動いている。
とそのとき、洞窟がかなり狭くなってきていることと、一本道になっていることに気付いた。
それと同時に前からいいようのないとてつもなく大きな圧迫かんがレイスを襲った。
「なんだっていうんだ?奥に何があ…」
奥から異様なほどの光が漏れてきた。しかし眩しくは無く、体全体を包み込むような不思議な
光であった。レイスは驚きで声も出なかった。
レイスが驚きと興味で歩を進める。その先には光の源が確かにあった。しかし、レイスには「も
の」では無いように感じられた。
恐そる恐そる手を出すレイス・・・しかしその先にあったは不思議な色をした光の塊であった。し
かも意外な事にその「塊」には触れることができた。しかし・・・
「!!!」
レイスの左腕に激痛が走った。
「ぐぁあぁああぁあ!!!!!!」
激痛は左腕全体から左手の甲に集中した。人生の中での全ての痛みを足してもこれほどまで
にはならないだろう、というくらいの想像を絶する痛さであった。痛みが収まるとレイスはその場
に突っ伏してしまった。
「………」
意識が遠のく感覚すらなく、レイスは気を失った。


「…っ!」
レイスが目覚めたのはあの村の宿。何が起こったか全く理解できない。そういえば左手はどう
なったのか、と見てみると左手の甲に変な文字が記されていた。
「…なんだこれは??」
「それは、ラテナの呪いだ。」
と、一人の男性が宿のドアの前にいつのまにか立っていた。
「…!?」



第二回




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